お気に入りと、このまちで/ franc’s 大東泰彦・祐子

    

    聞き手:あやぽ  写真:りんこ  編集:あんちゃん

 

西条の大通りから横道へそれ、酒蔵通り一帯へつづく細道へ。

その入り口に静かに佇む、ちいさな白いお店。

窓からのぞくのは、ずらりと並んだCDの背中。開け放たれた木のドアからは、服や雑貨の豊かな色彩が目に映ります。

 

 

このお店はfranc’sさん。CD屋さんであり、雑貨屋さんでもあります。

オーナーは、大東泰彦さん・祐子さんご夫婦。おふたりとも親しみやすく、優しい笑顔がとっても魅力的です。

 

好きなものを、最後まで

 

こぢんまりとしたお店ですが、店内はふしぎと解放感に溢れています。そんなお店にきれいに並んでいるのは、わくわくするような商品たち。

スローテンポな音楽に身を任せてお店を見て回っていると、時間がゆっくり流れているように感じます。

 

 

―お二人の、CDや雑貨のチョイスがすごく素敵だなと思っておりまして。franc’sさんで売るものには、どんなこだわりがあるんですか?

泰彦さん) CDは、ふたりが気に入ったものを中心に選んでいます。

ヒットするとかしないとか、売れるとか売れないとかっていう基準じゃなくて、いかに自分たちが好きな音楽かっていう。それがセレクトの基準です。

もとはCD屋だったので、売れるか売れないかを判断することがすごく多かったんです。でも、12年前の移転にあたって店に置くCDを絞り込むための基準を選ぶときに、「やはり自分が好きなものがいちばんいいだろう」って。ですから、ヒット曲はまずない。

ほかのCD屋さんに置いてある売れ筋のものはなくて、ほかに置いてないものがふつうにうちに置いてあるっていう。

まあ、一風変わった、ちょっと偏屈な店です。

―そこがfranc’sさんの魅力だと、わたしは思います。

棚いっぱいのCD。年月を経ても風化しない、

永く愛される音楽を中心に選んでいます、と泰彦さんは語ってくれました。

 

泰彦さん)雑貨はこの人(祐子さん)が前の店舗の時から少し取り扱っていたんですね。で、お店の移転に合わせてそれを拡大しようとなりまして。ベーシックだけど飽きの来ない、そんなものが多いです。

 

祐子さんこだわりの雑貨が並ぶ棚は、カラフルでどこか懐かしく、見ているだけでも心が躍ります。

 

泰彦さん)洋服のほうは、僕が大好きなブランドがあったので、移転に合わせて取り扱いを始めました。ここの服って、とても長く着られるんです。10年着てボロボロになって、パジャマにまでなった服をまた買いなおしたいと思ったときに、同じ店に行ったら同じものが並んでいる。そんなものを取り扱っています。

 

 

東広島のCDショップで働き始めたのが35年前で、西条に自分のお店を構えてからは22年になると語る泰彦さん。以前はもっと広いお店でCDをメインに販売していたそうで、現在のようなCDも雑貨も洋服も、といった唯一無二のお店になったのは12年前でした。

泰彦さん)いまの場所に移転した12年前には、CDが売れなくなっていたんです。移転するんじゃなかったら、お店を畳むかしかないような切羽詰まった状況で。

それならばいっそ雑貨と洋服も強化して、CDがもっと売れなくなってしまっても、それを最後の一枚になるまで取り扱いたいという気持ちがありましたね。もともとCD屋なので、自分の原点であるCDや音楽ソフトとは、最後の最後まで付き合いたい。そういう思いでリニューアルに踏み切りました。

いまの場所に移ってきて、お店の広さは4分の1ほどに。加えて雑貨や服の規模を広げることにしたので、CDはふたりの好きなものを厳選。結果、店頭にあるCDの枚数は大きく減りました。

泰彦さん)そこではやっぱり、移転前のCDファンの方からの批判が多くありましたね。なんでこんなお店にしたんだ、ほとんど雑貨屋じゃないか、というふうに。

でも一方で、こんなお店は他にないよと応援してくれるアーティストさんたちがいたんです。それが、当時の僕たちの支えでした。

 

ご縁を大切に

 

わたしはfranc’sさんがとても好きで、たびたびお店を覗きに行っています。ある日、商品棚のガラスのアクセサリーを眺めていたところ、泰彦さんが「それはね、東広島の作家さんの作品なんですよ。」と教えてくださいました。

―ところどころ、東広島に関係のある商品がありますよね。

旦那さん)うちに置いてあるものは、ご縁だよね。 

アクセサリーなんかは作家さんのほうから、是非うちに置いてもらいたいということでアプローチがあって。名前も何も知らなかったんですけれど、作品を持ってきてもらったらすごくよかったので、取り扱うようになりました。

店を外から見て飛び込みでやって来たセールスさんとかと、縁があって取引を始めたということもあります。最初から店にコンセプトがあったわけではなくて、出会う人がよかったから広がったかな、という感じですね。

―そうだったんだ……。とっても素敵ですね。

自然と集まってきた感じだよね、とうなずき合う大東さんご夫婦。

あたたかなおふたりが作るお店の雰囲気が、今までいろいろなご縁を引き寄せてきたのだろうな、と思わずにはいられない。

 

 東広島のアクセサリー作家さんの作品。

ガラスと金具がとれてしまった場合、持っていけば修理に応じてくださるそうだ。

素材にこだわった服の数々。はじめは1つのブランドのものしか置いていなかったけれど、

お客さんの要望とセールスさんの声で現在のラインナップまで広がったそう。

 

―地域の方とのご縁も、やっぱりあるのでしょうか?

泰彦さん)そうですね。CDでいえば、店頭に見当たらないCDはお取り寄せします、というポップを置いているんですよ。すると、「ほかにCDを買う場所がなくって」と言うおばあちゃんが、演歌のCDのお取り寄せを依頼してくれたり。そういう方が今でもいて、お店についていてくださるっていうのは、本当にありがたいですね。

 

アイドルものからクラシックまで、なんでもお取り寄せ可能です。

 

―ブログなどを拝見していると、酒蔵通り周辺のお店のお名前がちょこちょこ出てくるのが印象的でした。そこにもやはり、繋がりはありますか?

泰彦さん)酒蔵通りのほかのお店とは、運命共同体っていうか。

お互いに励まし合って、「あそこが頑張ってるからうちも頑張ろう」と気が引き締まることもあります。あとは、うちに来ていただいたお客さんに、近くにこんなお店もありますよ、と紹介しあったりとかも。

たしかに、お店の角には、いろんなお店のショップカードがきちんと並んでいます。

泰彦さん)酒蔵通り周辺は、個人のお店が頑張っている地域だなって思います。ほんとにみんないい人ですよ。

縛られてない個人商店が多いというか、自分の感性で店をやっているひとばっかりなので、ほかの地方にはない魅力がありますよね。

おふたりとも西条の出身ではないけれど、お店を開くときも移転するときも、候補地は西条以外になかったそう。

ずっと魅力を感じていた場所とはいえ、経営が難しいときに思い切ってお店のあり方を変えるという決断はそう簡単に出来ることではないと思います。加えて、自分たちのこだわりを扱うことへのこだわり。

終始穏やかに話してくださったおふたりですが、そこには芯のある強さと、このまちへの深い想いを感じました。

 

 

泰彦さん)まあ、これからも変わらず

あまり明るいとは言えない時代ですが、来ていただいた方に少しでも楽しんでいただける、そんなお店を目指して、謙虚にやっていきたいです。

祐子さん)あとは、イベントもやりたいよね。

泰彦さん)ずっと店をやってきた西条へのお礼の気持ちと、こんな状況だけど頑張ろうという気持ちを込めて、コンサートを開きたいです。そのときは、ぜひ遊びに来てくださいね。

 

 

franc’s

・営業時間 11:00 ~ 18:00
・定休日 毎週月曜日(祝日の場合は営業)
・住所 〒739-0012 東広島市西条朝日町6-48
・電話&fax 082-421-5896
・ホームページ http://www.francs.jp

 

ライターだより

初めてfranc’sさんを訪れた日、商品の棚にわたしの好きなアーティストさんのCDが並んでいるのを見つけました。それ以来ずっと、franc’sさんのファンです。

franc’sさんに置いてある服が似合う、店内BGMに使われるような曲がわたしのテーマソングである、そんな大人になりたいです。

 

カメラマンだより

一度訪れるとまた来たくなる場所。
老若男女問わず楽しみ、ワクワクできる場所。
そんな素敵な場所がfranc’sさんでした。
お店の中はCD、洋服、雑貨、franc’sさんのこだわりがたっぷり詰まった空間でした。大東さんご夫婦のお話を聞くことができ、写真を撮ることができ、とても貴重な経験でした。この出会いのおかげで、うまく言葉では言い表せないけれど、自分の視野が少し広がったように感じます。

 

 

 

【かいたひと】あやぽ

佐賀県出身。

白い紙とえんぴつがあれば、24時間は一瞬。

 

 

 

【とったひと】りんこ

広島県福山市出身です。いろんなことに挑戦したい。

カメラマンとしてもっと成長していきたい。