聞き手:あゆ 写真:しゅるしゅる 編集:しんじ
9月28日にOluOlu cafeにて「フリーペーパーよもやま話」というイベントが開催されました。全国から集めたフリーペーパーを配布する活動をされている紙楽社(しらくしゃ)さんの主催です!
当日はフリーペーパーをただ並べるだけでなく、「中国地方ローカル線の旅ガイドブック」などを出版された鉄旅ライター山本のりこさんをゲストに迎えトークショーなども行われました。
カウンターには様々な地域やテーマのフリーペーパーが並び、参加者のみなさんが自分の気になるものを手に取ったり、感想を共有たりしながらイベントを楽しんでいる様子が印象的でした。一つ一つのフリーペーパーに作り手の偏愛が表れていて、これが無料なの?!と思わずにはいられませんでした。
本日のYeastでは、そんなイベントの発起人、紙楽社の中野拓治(なかのたくじ)さんに活動への思いや仕事と趣味の考え方などをうかがいました。
中野さんとフリーペーパー
ー いつもは広島県海田町にある「&古民家」というレンタルスペースで活動されている紙楽社さんですが、今回はじめてイベントを開催してみてどうですか?
とてもいいですね。16時までの予定でしたが、その時間を過ぎてもフリーペーパーをきっかけに参加者の方たちが交流されているのがとても嬉しいです。
なんか、飲み会後に一応解散だけどまだ話したいことがあってみなさん残って語り合ってるみたいな雰囲気が、最高です。みなさんフリーペーパーで飲んでいますね(笑)。
ー フリーペーパーで飲む…!新しい時間の楽しみ方ですね。
ちなみに、紙楽社という活動をはじめたきっかけはなんですか?
フリーペーパーってとにかく配布する場所が少ないんですよね。何かを広めたいと思って作っても、それを多くの人に読んでもらうことが難しい。
例えば、東広島を訪れる人が増えて欲しいと思ってフリーペーパーを作ったとしてそれを東広島駅とかに置いていてももったいないじゃないですか。
ー 確かに。そういうときは情報が1つの場所に集まる、インターネットの方が使いやすい気がします。
そうそう。でも色々調べるとフリーペーパー専門店があるらしくて。それを知ったとき、「あっ、配布する場所を作れるんだ。」と思って。それがイベントを作り出したきっかけですね。
ー もともと、何かフリーペーパーを作られる活動とかお仕事をされていたんですか?
いや、全然(笑)。僕とフリーペーパーの馴れ初めは本当に偶然で。
去年、島根と広島の三次市を結んでいた三江線っていう鉄道路線が廃止されたんですけど、廃止後の4月1日に開催された「江の川よーいドン」というイベントがあったんです。参加したみたら、今日来られているライターの山本さんがそのイベントで三江線のフリーペーパー作りますって言ってて。
あ、なんか面白そうだと思って、そのフリーペーパー作りに参加させてもらいました。それがフリーペーパーとの出会いですかね。それまでは特にフリーペーパーに思い入れがあった訳ではないです。
イベントにゲストとして参加されていたライターの山本さん。
ちなみに、中野さんは電車のことも特別好きな訳でもなかったそう。
ー フリーペーパー作りに少し関わってみたことが紙楽社を始めたきっかけなんですね。
そうですね。それがなかったら、フリーペーパーを配布する場所が少ないことにも気づかなかったですし、いろいろな魅力がみえてきますよ。
ー 中野さんが考える、フリーペーパーの魅力とは何でしょうか?
フリーペーパーのいいところは、今まで知らなかったことを知ることができるところかな。それこそインターネットは情報量こそ多いけれど、自分にとって都合のいい情報しか検索しないし、求めている情報しか目に入ってこない気がします。
それに対してフリーペーパーは手にとってページを開くだけで違う世界を知ることができるので、自分の価値観を大きく広げることができると思っています。
あなたの身近なところにフリーペーパーはありますか?
私は市の広報誌「ひがしひろしま」か、広島大学の「HUplus」だなぁと思いました。
「趣味」としての紙楽社での活動
ー そもそもな話になるんですけど…。中野さんは紙楽社の活動はお仕事としてされてるんですか?
あっ紙楽社の活動自体は趣味で、本業は会社員なんです。だからこそ、使命感とかではなくて「あ、なんか面白そう」でできるところはあります。
ー 使命感や意味をあまり考えずに行動することって大事なんじゃないかな、と思うんですよね。
それはどうしてですか?
ー 大学生は学業が本業。それ以外って生活するためにアルバイトをするか、サークルなどの課外活動が主な行動だと思うんです。もちろん友達と遊んだりもしますけど。
その先には就職があって、会社や社会に選んでもらうために必要な要素以外は「無駄」な時間になってしまうような、そんな気がするんです。私はその「無駄」な部分に大切なものがあるような気がするのですが……。
紙楽社での活動は本当に趣味で、いってしまえばやっている理由はあるようでないんですけど、それでもやっぱりいいことはありますよ。
あとは、やっぱり自分が楽しくないとダメですね。
ー なるほど。この紙楽社での活動を本業にしたいと思ったことはありますか?
あぁ。楽しくないとダメとは言ったんですけど、好きを仕事にするのはあくまで理想だな、と思います。楽しいことをしながらお金を得るのは僕にとっては別次元にある。
本当は本屋さんとかやってみたいんですけどね(笑)。
ー このYeastでは好きを仕事にしている人を取材することが多かったので、その言葉は私にとってすごく新鮮です……。
僕にとっては、生活するために仕事がある。正直しんどいこともいっぱいあります。でも、だからこそ小さな幸せを最大限にすることが大事かな、と思いますよ。嫌なことでも楽しむ力がときには必要な気もします。
ー 本業があるからこその趣味かもしれませんね。
私も学業や社会に求められているものがあるからこそ、「無駄」な部分みたいなものも認識できるのかもしれません。
そうそう、趣味で楽しむ!
そんな中野さんの小さな幸せは、仕事を頑張ったあとのお酒だそうです。
ー 中野さんは、紙楽社さんでの活動をこれからどうやって楽しんでいきたいですか?
今、島根県邑南町阿須那にある空き家を借りて紙楽社の活動拠点を作っているんです。そこを中心にいろんな人と交流していきたいですね。
最後は好きなフリーペーパーと一緒に!
紙楽社さんの活動やイベント情報はこちらで確認できます!
ホームページ:http://shirakusya.com
ツイッターアカウント:https://twitter.com/shirakusya?s=17
ライターだより
「好きを仕事にする。」という言葉をよく目にします。仕事に対しての表現はたくさんありそうだと中野さんの取材から考えるようになりました。生きるための仕事なのか、やりたいことを叶えるための仕事なのか。好きを仕事にするのか、仕事を好きにするのか。そんなことを考えながらも、中野さんの趣味や面白そう!という自分の感性へ素直な姿勢が素敵だと思いました。
カメラマンだより
普段はなかなか見つけられないフリーペーパーをこんなに見ることができるとは…!と純粋に驚いたイベントでした。
中野さんの、フリーペーパーについて話すときにするきらきらした笑顔が印象的です。
身近にあるフリーペーパーをちょこっとだけ探してみようかな。
【かいたひと】あゆ
編集長 /ライター兼広報担当
広島大学総合科学部所属。出身は宮崎県。すきな食べ物は真鯛のおすしです。
【とったひと】 しゅるしゅる /カメラマンたまにライター
カメラと写真が大好きで、最近はポートレートを撮りたくてうずうずしている。
好きな食べ物は嚙みごたえのあるもの。特にイカが良い。