【クラウドファンディング企画】/「知ったら、伝えたい。」福島から届ける西条愛/東広島ボランティアガイドの会 水野富三哉

     

聞き手:しおね 写真:ゆーた 編集:しんじ

昨年11月24日に西条酒蔵通りにて『地元ガイドとまち歩き 時代薫る西条の酒蔵巡りコース』というイベントが開かれました。ガイドをしてくださったのは、私たちmahoLabo.をクラウドファンディングで支援してくださった水野 富三哉さん。今回は、この方にお話を伺ってきました。

 

ー どうしてmahoLabo.をクラウドファンディングで支援してくださったのですか?

 

きっかけは、mahoLabo.さんが取材したレストランRagoût(ラグー)の記事です。

西条に住み始めた頃、インターネットの掲示板を通してラグーの存在を知りました。初めてラグーに行って以来気に入って、通い続けたんですよ。今は福島の会津若松というところに住んでいますが、西条を離れるとなった時も寂しい気持ちになりましたね。

西条を離れていてもラグーのことは知りたいので、たまにインターネットでラグーのことを調べてるんです。でも、グルメサイトにコメントが一つ二つ追加されるぐらいで、頑張ってお店を続けてらっしゃることしか分からなくて……

そしたらね、去年の12月にヒットしたのよ。このmahoLaboさんが取材したラグーさんの記事が。

 

https://maholabo.com/restaurantragout/

上のリンクよりご覧いただけます。

 実際に記事を読んでみると面白くて、Yeastのトップの写真も酒蔵通りの写真だったので、この人達頑張ってるなあと思い勝手に応援したいと思ったんです(笑)

 するとmahoLabo.のクラウドファンディング(2019年2月6日より)が行われまして、支援する以外ないと思いました。リターンの中に「支援者へのインタビュー」があるのも見かけて、そこで自分のガイドボランティア活動について取材してもらうのもいいなぁと思い、支援することにしたというわけです。

 

ー なるほど……支援してくださってありがとうございました!ところで、水野さんはどうして西条でボランティアガイドを始めようと思ったのですか?

 

もともとは三原市(東広島市の隣の市)に住んでいましたが、通勤が大変で西条に移り住みました。すると会社以外のコミュニティがなくなってしまって。だから、何かコミュニティに入りたいなと思っていました。

その時新聞に出てたのが観光ガイドのボランティア。この町のことも詳しく知れるかなと思って気になり、ボランティアガイドの説明も含めた講座に参加してみたら、面白くてね。ガイドをすることにしました。

 「忘れないために、帰ってきてる。」

 

ー 今はどのような気持ちでボランティアガイドを続けられていますか?

 

自分が忘れたくないからやっていますね。だって、1年でも西条から離れてたらガイドできないでしょ。忘れないために、帰ってきてる。大体3か月に一回くらいの頻度で帰ってきてるんだよね。できればこれからもずっと、こうやってガイドを続けていきたい。

 

ー 3か月に一回とは驚きです……。なぜそこまで西条に思い入れがあるのですか?いろんな地域を転々とされているのに、西条という場所でガイドをされていますよね。

 

西条が一番長いから。それに、コンパクトで綺麗な街並みがあり、中途半端な都市加減っていうのもいいね。大きすぎず小さすぎない都市加減。生活のしやすいまちだよね、西条は。

ー その中でも、水野さんは酒蔵通りに魅力を感じられてるのかなと思ったのですが。

 

この辺りはね、歩いてて好きな場所ですから。歴史があって、知れば知るほどおもしろい。だから、私がガイド中に「こっちにきてください!」って言うのは、私が、ここは見てほしい!っていうところなんです。

 

写真は水野さんのこっち来てシリーズの一つ。ガイド中、水野さんが特に見てほしいと思った場所では「こっちに来てください!」と大声で呼びかけて、観光客の人を惹きつけます。

 

― 酒蔵通りの魅力といえば……水野さんは西条をテーマにした曲を作詞されたそうですね!

 

そうそう!これを今日みなさんにお伝えしたかったんですよ。「酒蔵散歩道」というタイトルの歌ですね。

 

ー どうしてこの歌を作詞しようと思ったのですか?

 

きっかけは、ある広大生とのつながりですね。私は、広島大学の講義の一環で毎年1回ほどボランティアガイドの活動をさせてもらっています。

そこに参加したある学生さんが、僕のことを覚えてくれていて、「新しいサークルをつくりました。来月イベントをするので来てください」と言ってくれてですね。新しいサークルというのが、「大学生が地域の人と繋がりを持ちたい」をフレーズにした“西条Lovers”さんです。そこで、メンバーのひとりが西条をテーマにつくったという“♪まちあわせ”が披露されました。

遠い町から西条に来て一年にもならないのに、西条に興味を持ってくれて、さらには歌まで作ってくれて、嬉しかったです。彼らの歌に触発された形で、自分も西条をテーマに歌を作りました。彼らに歌詞を送って「アンサーソングとして曲つけてくれない?」と言うと、なんと次のイベントで発表してくれた。これが「♪酒蔵散歩道」でした。しかも、イメージ通りの曲に仕上がっていたから、嬉しさは倍増しましたね。

 

「酒蔵散歩道」をみなさんにもぜひ聴いて、歌っていただきたいですと語る水野さん

 

ー この曲、初めて聴いたときはなんだか懐かしい気持ちになりました。この曲に込めた思いがあれば教えていただきたいです。

 

ご当地ソングにならないよう「西条」の2文字を使わない、そして「酒を飲もう、酒がおいしい」とかそういう言葉はNGワードにしたの。子どもや大人まで、前世代の人が歌える歌にしたかったから。そして、「親子の成長」と「恋人同士の成長」の二つの意味を込めて作りました。

 

♪酒蔵散歩道♪ 作詞 水野富三哉 作曲 星野楽 演奏 西条LOVERS

こちらで「酒蔵散歩道」を聞くことができます。

 

 

― 酒蔵通りの情景が頭に浮かんできます、素敵な街並みですよね。ちなみに将来西条がこうなってほしいなとか、こうなったら面白いなっていうところはありますか?

 

いや、でももう、このままがいいんじゃないんですかね?

 

ー このままとは……?

 

これ以上でもこれ以下でもなくて。僕は10年ぐらい前から、「ついでの街、西条」って言ってるんですよ。

バスツアーのお客さんもよく来るんですが、最後についでに寄って帰られることが多いですね。ついでだから、これ以上を西条に求めようとは思わない。このままの西条で良いと思ってますし、”今の”西条が好きです。

ー ついでの感覚で来られる観光客の方に対して、ガイド中に気を付けていることってありますか?

 

観光客の人は遊びに来てるので、観光以上のことは求めてないはずなんです。例えば1675年っていうのを正しく伝えるべきかっていうのを考えた時、僕は、そうじゃないと思うんです。1600年頃でいい。

だから、詳しい情報を伝えて覚えてもらうよりも、我々も観光客の人と同じ感覚でガイドをするということに気を付けていますね。その一方で、アバウトな知識を伝えるために、詳しい知識を正確に身につけておくようにしています。

 

ー 水野さんは、参加者の方に目線に合わせるガイドをされてますよね….聞いてて思ったのが、教えるというよりも、笑いを取り入れて一緒にツアーを楽しむという印象を受けまして。

 

 

実は小学校の時からお笑い好きなんですよ(小声)だから、1つのことを伝えるにも笑わせたいっていうのがあって(笑)そういう欲があるんですよ。ガイドさんによって様々なカラーがありますが、私は「笑い」を取り入れたテイストでガイドをしていきたいですね。

 

ー 水野さんは、参加者の方々から笑っていただけたら、ガイドをして良かったと思うんですね。

 

そうそう、笑ってもらえるのが自分にとって嬉しいことです。よし!今日は勝ったぞ!って。笑いが一番です。

 

 

ー 西条が好きという理由だけでガイドを続けていらっしゃるのは凄いですよね……福島からこっちに帰ってきたりするのって大変そうに感じます……

 

そうですか?(笑)私は、知ったら伝えたいって思います。西条の歴史や魅力を知れば知るほどこのまちが好きになって、他の人にも伝えてあげたくなります。

君たちもやってみればいいよ。せっかく西条に住んでるんだから、まちのことを知ったらいいし、知ったんだったら誰かに教えるといい。「ほらこっちきてっ」って案内しながらね。

 

「見ている方向が同じ人は、応援したくなる」

ー 最後に、今後私達mahoLabo.のような学生にどのようなことを期待していますか?

 

みなさんは日本の宝ですよ。これからの日本を背負って立つ存在ですから、応援したいじゃないですか。特にあなた方のような、私と見ている方向が同じ人達っていうのは、自然と応援したくなります。

mahoLabo.のクラウドファンディングサイトのトップ写真が、酒蔵通り本陣前で撮った写真だと気づいた時は、とても気になってね。更に取材の詳細を見てみると、場所の指定がなければ酒蔵通りで取材ってあるじゃないですか!あれもポイントアップですよ(笑)

mahoLabo.さんには、今日のツアーに参加してみて、「このツアーに他の大学生を誘いたい」と思われたらぜひ紹介して頂きたいです。また、maholaboさんで新入生ツアーを組んだり、ガイドの会に入って一緒にガイド活動をしてくれる大学生がいたりすれば嬉しいです。これからも一緒に頑張っていきたいですね。

 

ライターだより
初めてのライターで緊張していましたが、水野さんの明るい人柄に助けらました。
大切な人ともう一度ゆっくり酒蔵通りを歩きたいです。「ほらこっち来て」って。

 

カメラマンだより
常に周りを楽しませようとしてくださる水野さん。取材に行ったはずが、いつの間にか酒蔵ツアーを純粋に楽しんでいました。次は僕が酒蔵の魅力を身近なひとにお伝えしたいです。

 

 

 

 

 

【かいた人】しおね/編集長&ライター

山口のトロンボーン吹き。オムライスはデミグラスよりケチャップ派。置かれたところで咲いていきたい。Instagram→sea_one27 Twitter→@shione2727 

 

【とったひと】ゆーた(Yut@)/カメラマン

知らないところを探検するのが好き。もちろんカメラをつれて。家ではクラシックギターを弾いたり、本を読んだり、寝たり。Twitter → @Yh_photo