【クラウドファンディング企画】/「こころにヒットしたものを、大切に。」/自然を守る仏教徒 髙橋征志

樋口遥人   松室一馬  

聞き手:ちぐはる 写真:ムロ 編集:しんじ

「生きる」とはどういうことを意味するのだろうか。

この言葉を持つ意味は人それぞれだ。自分なりの答えを見つけることは、難しい。

けれど今回、僕は1つの答えに出会った気がした。

そう感じた取材でした。是非、最後まで読んでいただけたらと思います。

~ クラウドファンディング支援者様インタビュー第二弾 ~

 

今回インタビューさせていただく支援者様はこの方。

 

島根県の地域おこし協力隊として林業に携わっている髙橋征志さんです。

髙橋さんは、前職が、大学の事務職員で、oluolucafeのオーナーである鈴木さんが学生時代の頃から彼と縁があるようです。また、タイで出家をしようとした経験もあるそうで、仏教の志を持たれています。

複数の経歴と珍しい経験をお持ちの髙橋さん。一体どんな方なんでしょうか。

 

人の為に何かをしようとする学生達に興味を持った。

 

― まず、私達mahoLabo.をどういった経緯で知って頂いたんでしょうか?

そうですね、mahoLabo.を知ったのは、oluolucafeでイベントがあった時です。

確か忘年会だったかな?元々、オーナーの鈴木英士とは、彼が学生時代の頃から縁があって、それでcafeのイベントに行った時に彼からmahoLabo.の存在を聞きました。

鈴木英士さんも過去にYeastにて取材させて頂きました。鈴木さんの記事はこちらからご覧になれます。https://maholabo.com/oluolucafe/

― きっかけは鈴木さんだったんですね!

そうそう。mahoLabo.の話を聞いた時、いいなぁと思ったんですよ。

私は学生の頃、弓道部で活動してまして……まあ、体育会系だったんですね。それで活動といったら、大会に出て優勝を目指すみたいな自分の為のことをしていたので、学生のうちから人の為になにかをして、周りの誰かを幸せにしようとする視点を持っているのが素敵だなぁと思ったんですよ。

だから、この団体応援したいなって思って、クラウドファンディングを支援させていただきました。

― そう言っていただけると、とてもありがたいです。

自分達がしている活動が、外から見てそんな素敵に映っていたことを知って、自分の団体が誇らしく感じました。

悩みが多い人生を、環境を変え続けながら、生きてきた。

 

― ところで、髙橋さんは現在島根県で林業をされているそうですが、前職の大学の職員からどのようにして転職されたんですか?

これを話すと長くなるんですよね(笑) きっかけとしては、職員として働いているときに虚しさを感じたことですね。

淡々とこなしてる自分の仕事が一体何に繋がってるのかってのが見えにくくて……職員を退職する丁度前の年だったのですが、1年間の仕事の区切りがついた時に、この先これ何年か繰り返していたら、俺の人生はあっという間に終わるなって思ったんですよね。

それから出家をしようと思って……

― 出家!! 急展開ですね(笑)

実は、元々宗教には関心がありまして。というのも、小さい頃から妙に生きづらさやしんどさってのをずっと感じていて、「人付き合い上手くいかないなぁ」とか、「自分は人より劣っているなぁ」とか思っていたんです。こういった悩みの解決法って人によって様々だと思うんだけど、その中で『自分は宗教』という選択をしたんです。

7~8年前にスリランカのオレンジ色装束のお坊さんにお会いして、原始的な仏教に触れてから、これなら一生続けられそうだと思って修行を始めたのが私と仏教との出会いですね。

仏教は自分の苦しみを和らげてくれる』。修行を続けていくうちにそう確信していきました。

そして先ほどの仕事に対して感じたことも相まって、今まで休日とかにちょこちょこやってた仏教をガチでやりたい!と思ったので、仕事を辞めて出家をしようと準備を始めたのが3年前ですね。

― なるほど、突発的なものというよりは、するべくしてした決断だったんですね。

そう、漠然と思っていたことを、きっかけに後押しされてようやくって感じに。

それから、縁あって知り合ったタイで出家した日本人のお坊さんに頼み込んで、実際にタイに行って、出家に向けて修行をする生活を始めた。けど、2週間で帰ってきちゃいました(笑)

― えぇ!? 修行がよほど辛いものだったんですか?

いや、修行が辛かったわけじゃあなく、単純に自分がしたいのは出家じゃないことに気付いたんです。

現地のお坊さんと話した時、そのお坊さんから「仏教は離欲の教えである」というフレーズを聞いたんです。その瞬間に、自分の中の強烈な自己承認欲求にハッと気付かされました。自分は職員時代のあの無為に思える環境から逃げ出したかっただけだったんだな、この心では出家はできないな。そう思って、日本に帰ることを決意しました。

― 仏教の本質と向き合った末の決断だったんですね。日本に帰ってきた後は、どうしたんですか?

まずは、どうにかして生計を立てなければと思いましたが、普通の求職活動をする気にどうしてもなれなくて。それで色々調べた末、結局タイにいた時に耳にした、長野県で自給自足の生活をしている団体のところに厄介になることにしたんです。

― あ、島根ではなく長野なんですね(笑)

そうです、ここまで長かったですが、まだ長野県の話です(笑) でも、ここが林業を始めるきっかけの地でもあるんですよ。

ー なるほど。お聞かせください。

はい、長野県は山が多くて、電車とかで移動してるときにも山が目に入るんですよね そこで山がソーラーパネルの設置の為にはげ山にされてる光景を目にして…….私はそれがすごく嫌だった

ー 嫌、というのは、具体的にどんな理由があったんですか?

私は山に囲まれて育ったというわけではないんですが、山を見ると何故かどこか懐かしいノスタルジーな気分になるんです。そしてそういう気分にさせてくれるものがお金儲けの為に利用されてるような気がして、凄く嫌に感じたんです。

そしてある日、長野県で林業をされてる方に偶然出会い、そこで『林業とは、山を保全する仕事だよ』と言われたんです。その時に、感銘を受けて。『林業をやる』という選択をしたんですよ。

ー 林業を始めるきっかけは、運命的なものだったんですね。なぜ、その林業をする場所に島根県を選んだんでしょうか?

それは結構単純な理由で、自分がやりたい林業を学べる場所の1つとして島根県の地域おこし協力隊の話を聞いたんです。自分がやりたい林業は、自伐型林業という林業で、現行の林業より環境負荷の小さい林業です。材の搬出のための道を狭く作って、なるべく環境負荷を小さくして、森の保育のための間伐をしていく。それが自伐型林業なんです。

それを、島根県の地域おこし協力隊という場所で仕事としてやりながら学べることを知ったので、島根県に行ったっていう次第です。

ー ようやく最後まで繋がりました……。最後は意外とシンプルな理由だったんですね(笑)

そうですね、結構たまたまです(笑) そもそも場所や職業に何かこだわりがあったというわけでもなく、今は林業を通して、自分のやりたいことが出来ているので、この仕事をしています。

 

環境を変えることは様々な決断が伴うので、そう簡単なことではないはず。なのに髙橋さんのお話を聞いていると、その感覚が麻痺してしまいそう。それぐらい濃い人生のお話でした。

 

やはり、誰かの為になることがしたい。

 

ー 長い旅のような人生を過ごしてこられたと思いますが、現在の林業によって叶えられている髙橋さんのやりたいことって何でしょうか??

これは、林業をやっている中でつれづれ考え、ようやく気付いたことなんですが、私は、誰かの為、何かの為になることをしたかったんです。事務の仕事は何の役に立ってるか分からなくて嫌だったんだけど、この仕事は山の為になっている。

その意味では、必ずしも林業以外じゃダメというわけでもないんです。

それこそ、宗教は自分の苦しみ、人の苦しみをなんとか出来ないかと悩み続けた人の想いが詰まっているから、自分のやりたいことであるのには変わらないんです。今も修行を続けていますから。

ー タイから戻られてからも続けられてるんですか?

はい。出家はせず、在家という形でね。でも、実は出家を諦めた後、もう一度タイに2週間修行に行ってて、そのときにもう一つ気付いたことがあって

 

私は自分に対して否定的な評価をするクセがあったけど、そんなに責める必要はないとも思ったんです。

なぜなら、私は私なりに頑張って生きている。欲の塊だっていい。ダメだって思いがあるだけ、頑張っているねって自分に言ってあげればいいと体感的に思って、

出家というような大きなことをして変わらなければという観念が、崩れ去っていくのを感じました。焦って無理をして変わる必要は無い。変わらない自分を責める必要は無い。それでいいんです。

髙橋さんのこの言葉を聞いて、自分は高校時代をふと思い起しました。まさに、良い大学に入って良い企業に行かなければと焦っていた。高校生の頃の自分がそうであったからこそ、もし、かつての、僕と同じような観念に囚われている人がいるならば、届けたい。そんな想いが僕のこころを巡った瞬間でした。

 

自分らしくあることを、自分で認めてほしい。

― 髙橋さんが、今の学生に伝えたいことはありますか?

私が言えることとしては、もしも、自分が興味を持つものを見つけたら、それがどんなものでも大切に守って生きてほしい、ということです。

この御時世、ネガティブなニュースが溢れていて、将来に対して不安を抱えている子が多いと思う。

将来の為に、社会に適応するために、脅迫的に『やらなくてはいけない』と考えていることが多く、私の幼い頃より、精神的ストレスがかかって生きていると思う。

その中で、勉強するなり、資格を取るなり、食べていくための対策も必要だけど、何か自分の心の拠り所となるものがあることが、何よりも大事だと思います。

私にとっては仏教がそれで、この心の拠り所があることで、人生頑張ろうって思えるんです。だから、もしも、何かがあなたのこころにヒットしたのなら、続けてください

 

最後に

髙橋さんには、今回の取材で人生をありのままに語って頂きました。その人生の中で、彼は多くの悩みを抱き、考え続け、選択し、環境を変え続けてきました。

自分の人生をより良いものとする為に、自分の人生と誠実に向き合って。無理に気張らない、そんな自分を認めながら、自分が好きなものを愛でながら、彼は「生きて」いました。

ライターだより

最後まで読んでいただきありがとうございます。

髙橋さんの取材をして、僕は漠然と、「この人は生きているな」と感じました。

彼は、自分が幸せになるにはどうしたらいいのか、と悩み続け、職場を、住む場所を、環境を何度も変え続けてきました。そうして自分の大切なものを見つけ、今もそれに寄り添いながら人生を謳歌しています。人はこうであれば幸せなんだと、僕は改めて気付かされました。

あなたの大切なものはなんですか? もし良かったら、今度教えてくださいね。それを人に話すことはきっと楽しいですよ。

 カメラマンだより

今回は初めてカメラマンをさせていただきました。

髙橋さんの話を聞いて、「人生」とはなにかということをひたすら考えさせられたと感じました。自分にとって「生きる」とは、「幸せ」とは。この問いに対する考え方は人それぞれ違うし、一生考えていかないといけない問いだと思います。焦って生きる必要はない。自分の歩幅で生きていけばよい。そして何よりも、行き詰ってしまった時の心の拠り所となる場所は必要だなと感じました。

樋口遥人【かいたひと】ちぐはる/経理・Yeast編集チーム・Webデザイン

名古屋出身。カフェイン中毒。お喋りと散歩が好き。

 

松室一馬【とったひと】ムロ/カメラマン、イベンテーター

兵庫出身。旅とカメラが好き。面白いことしたい。人生は一期一会。
Insta→muro_muro.0510 Twitter→@muro_110510

 

 

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