「ネット販売はしないんです」。人とのつながりを大事にするケーキ屋さん/Sucree labo garbeRa 店長・飯森律子

    

聞き手:ももち 写真:ゆーた・るなちょふ 編集:のんの

 ここは西条町御薗宇(みそのう)。国道375号線を北上し、上戸の信号を右方向、西条町城信の信号を右方向。すると、一軒の白くて四角い建物があります。Sucree labo garbeRa(シュクレ・ラボ ガーベラ)という可愛いケーキ屋さんです。

 

外には可愛いアリが描かれています。甘くて美味しいケーキに誘われてきたのかな?

 

中に入ると、手作りのスイーツがたくさん!

 

今回は、店長の飯森律子さんにお話を伺いました。

 

-「Sucree labo garbeRa」という店名の意味は何ですか?

 

Sucreeが「砂糖」で、 laboが「工場」。「甘いものをつくる工場」みたいな意味ですね。それと、私はピンクのガーベラが好きだったので、garbeRaってしました。自分が癒される空間で働きたいな、と。

 

店内には大きなガーベラの絵が。

大文字の「R」は律子さんのイニシャル。

 

私が以前働いてた「Sucree Labo L’OASIS」っていうお店の、頭だけ真似させてもらっていいですか、ってお願いしました。

 

-それはどんなお店だったんですか?

 

フランス菓子が主のお店ですね。それと私は和菓子が好きなので、和と洋の中間ぐらいのお店を持ってみたいという気持ちで、「ガーベラ」を始めました。たとえば「いちご大福」とかね。

 

「ガーベラ」の開業

 

以前は呉市で働いていた飯森さん。西条で「ガーベラ」を始めて9年になります。

 

-ご自分でお店を開業された理由は何ですか?

 

 

昔からお菓子を作るのが好きで。洋菓子のお店や和菓子のお店にも行って、「自分のケーキを作りたい!」って思うようになったんです。それで家族の後押しもあって、やってみました。

子どもの頃から自分が作ったものを人に食べてもらうことがすごい好きだったんですよ。家で作っては近所の人とか友達とかにあげてて。食物関係の高校に行って、短大で栄養学も学んだんですけど、やっぱりお菓子を作りたくって。

 

-なるほど!お菓子作りが大好きなんですね。ズバリ、飯森さんにとっての「自分のケーキ」とは何ですか?

 

私の場合、高級な素材はあまり使いません。東広島のカボチャとか、自分で手に入れられる地元の材料を使って、自分の好きな甘さに加工して、みたいな。素材の味を生かしたケーキを作っていきたいですね。

 

-ちなみにカボチャを使ったスイーツってどんなのですか?

 

カボチャを2つにして中身をくり抜いて、そこにチーズケーキの液を流して焼いたものです。カボチャが器になってそのまま食べられるんです。あれは好評でした。

 

-おお!!美味しそうですね!

 

ハート島のレモンケーキ

 

 

 

-僕、広島土産として毎回これを買ってるんです!「見た目がかわいい!」「美味しい!」と友達から大好評なんです。

 

あら、ありがとうございます。

 

-どういう経緯でこのレモンケーキができたんですか?

 

実は、レモンケーキを作るつもりはなかったんです。

 

-ええ!?そうだったんですか!?

 

広島はレモンの生産が日本一ですよね。広島のケーキ屋さんがほとんどやってるから、敢えて私はやらないって思ってたんです。

でも、あるときお客さんがたまたまデコポンを持ってきてくれたんです。「安芸津の大芝にいる親が作ってるんです」って。「もしかしてレモンとかも作ってるんですか?」って聞いたら、「作ってます」と。

それで私も安芸津に行きました。そしたら、「小芝島」っていうハートの形に見える島があって。「かわいい!」って思ったんです。せっかくレモンもあるし、「ハート型のレモンケーキも面白いな」って思って、生まれました。

 

 

-やっぱり地元と関わってるってのが大きいんですね。

 

お客さんがデコポンをくれなかったら、「ハート島のレモンケーキ」も安芸津とのつながりも無かったですね。

 

-お客さんや地元との偶然のつながりから生まれた。素敵ですね!

 

「人とのつながり」にこだわる

 

-飯森さんにとって、東広島はどんな場所ですか?

 

温かいって思いますね。お客さんもそうですし、前ガーベラで働いてくれてた人たちもみんな良い人っていうか。西条にいる親戚の人がお店に来てくれたり、野菜をくれたりもしました。

 

-親戚の方も来られるんですか!

 

「ケーキ美味しい」とは言ってくれますけど、内心はどうなのかなって思ってました(笑)。 だから、その後また来てくれた時は嬉しかったですね。西条には結構色々なケーキ屋さんがあるけん、もう1回うちに来てくれたっていうのがとても嬉しい。

 

-顔を見たらすぐに分かる常連のお客さんもいますか?

 

いますね。お店を始めてからずっとバースデーケーキを買ってくれてる親子がいまして。最初は子どもが1人だったのに今は3人いるとか。ご家族の成長が分かりますね。

 

-ほっこりしますね!ご家族の幸せそうな光景が目に浮かびます!

 

 

-でも今はインターネットやスマホが発達してて、だんだんリアルでのつながりとか、直接の関わりとかが薄くなってますよね。こんな時代で人との関わりをどうやって保ってるんですか?

 

やっぱり自分のお店での接客ですね。ネット販売だとお客さんの顔が見えないじゃないですか。だから私はネット販売はしないんです。基本、ここのお店で売るのをメインにしてて、外での販売はあんまりしてないです。

-通販は便利ですけど、その一方で何か失ってるような気がしますよね。今こそ温かさのある直接の関わりが必要ですよね。

 

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こんな時代だけど、地元の食材で自分が作りたいケーキを作ってお店で販売する。お客さんや地域の人たちと直接関わる。ネットだけに依存するのではなく、顔と顔を合わせたコミュニケーションが大切だと再認識しました。

 

手作りケーキの美味しさや人の温かさは、時代の忘れ物なのかもしれません。

 

そして取材後には、「ハート島のレモンケーキ」をいただきました!!

 

 

ライターだより

 文章中にも書きましたが、私は毎回広島土産として「ハート島のレモンケーキ」を買っています。これは本当におススメです!そして今回のインタビューでは、お店に行くだけでは知ることができないエピソードがたくさん聞けました。ガーベラさんの事がさらに好きになりました。この記事を読んでくださった皆さんも、直接お店の人に会っておしゃべりすることを楽しんでくれたらなと思います。

 

カメラマンだより

 飯森さんのお人柄から、このガーベラというお店の温かみが伝わってくるようでした。ひっそりとたたずむ感じ、色とりどりなスイーツに囲まれたガーベラさん、ぜひ皆さんに訪れてほしいです。次は何をいただこうかな!

 

Sucree labo garbeRa
住所:〒739-0024
東広島市西条町御薗宇6225-1

 

【かいたひと】ももち

兵庫県淡路島出身。趣味は昭和歌謡鑑賞。特に1970年代の歌謡曲が好き。
倫理学を専攻にしたいと考えており、文化としての歌謡曲を倫理学的に考察することに興味がある。

 

【とったひと】ゆーた(Yut@)/カメラマン

知らないところを探検するのが好き。もちろんカメラをつれて。
家ではクラシックギターを弾いたり、本を読んだり、寝たり。
Twitter → @Yh_photo

 

【とったひと】るなちょふ/カメラマン

広島県尾道出身。大きな体で大きな心が目標。エモい写真が撮れた時のにやけは見られたくない。
instagram:@kism_hxy46