「自信もって言いきっちゃうんです。」前向き夫婦の挑戦の形 / スドウ雑貨店

 

聞き手:りょーま 写真:かんちゃん 編集:みやさこ

 

6畳ほどの店内にはとてもおさまりきらないほどの愛であふれた

 

翔太さんが一枚ずつ手書きでデザインされたTシャツ、トートバッグと、
ゆりやさんが心をこめてつくっているレザーの小物。

 

ここは福富町の有名な牧場「カドーレ」から少し車を走らせた場所に
ちょこんとたたずんでいるお店「天然素材 スドウ雑貨店」。
お二人の人柄がにじみでていて、とても優しい気持ちになれるお店です。

 

ゼロの自分に積み上げていくには。

 

もともとは美容師だった翔太さん。かっこいいからという理由で仕事を始めたものの、きびしい現実とのギャップに悩んで、本当に好きなものはなにかと自分と向きあった結果、絵を描くことにたどりつきます。

 

働きながら絵の練習をして、友達と油絵をお菓子と交換するところから始まり、友達の友達にどんどん広がっていきました。今ではオーダーTシャツやトートバッグ、結婚式のウェルカムボード、壁面へのペイントなど幅の広い活動をされてます。

 

ゆりやさんは、経済的にも自立したいという気持ちがありました。それは翔太さんが絵の練習をしながら働きに出ていたころ、少しでも迷惑をかけたくないとの思いから。

 

家でできてネットで販売できることはないかと考えたところ、趣味でやっていたレザークラフトしかない!と心を決めたのです。美容師の友人にシザーケースを作ったところから広がって、今ではインスタグラムをみて全国からオーダーをいただくそう。

 

 

お店は大工さんと一緒につくったそうです。すごく安心感があります。

 

翔太さん  子どものときから落書き程度ではあったんですけど絵を描くことが好きだったんです。
絵で食べていこうって決めて、美容師をやめるときには、周りにむりむりってばかにされてましたね。

 

 

「美容院をやめてあと、東急ハンズの油絵セットを買うことから始まりましたね 笑」

 

それが今では思わぬ方向から仕事を依頼されるという翔太さん。
ドッグランの壁に犬の絵を描いたり、結婚式のウェルカムボードの作成だったり、東京で移住セミナーの講師をしたときに出会った人に注文をいただいたり。

 

今では、絵描きさんという言葉がとてもお似合いです。

 

僕はふと、何者でもない自分に嫌気がさすことがあります。
いま学生という肩書をとったら何がのこるんだろう。
特別なにかができるわけではないし・・・。

 

ー ゼロから違うことを始めて、仕事として成り立たせるほどの力をつけるには、どんな気持ちで頑張ればいいのでしょうか。

 

翔太さん  そうですね・・・。もともと僕も最初から「絵描きです!」って言えるわけでもなくて。
今じゃけえ絵描きって言いやすいけどね。でもこういう職業って肩書きは言ったもん勝ちなとこがあって。
カメラマンもライターも、自分で名乗ればもうカメラマンだしライターじゃないですか。

 

 

た、たしかに。僕もライターとか言っちゃってる・・・。

 

翔太さん  でもそこで自信もって周りに言いきっちゃうんです。そしたら「じゃあこういうのやってみて」って思わぬところから頼まれたりして。

 

それを絶対満足させてやるぞ!という気持ちでこたえると、お客さんにも絶対気持ちが伝わるんですよ。

そういうのを繰り返していくと実績になっていって、いつのまにか自信になるんですよね。

 

翔太さんが街の看板の依頼を受けて作ったもの。初めてのことだけどすぐに「やります!」と答えたそう・・・。すごい。
取材のあとに見に行きました!

 

ゆりやさん  なんかいっつも迷ったら結局好きなものはなんなんって話すよね。
自分の好きな描くテーマはどんなものかとか、売るためだけの商品は作れんねとか考えて。
最後には、自分の好きなことをつきつめていけばどうにかなると思う。

 

みんな最初は何もなかったわけだから。
できることだけをやる人が9割だから、できないことに挑戦する1割にどう入っていくかが大切だと思う。
そのうえで突き詰めた結果です。

 

 

ゆりやさんの前向きさに、頭が上がりません。
失敗することを恐れて、できる範囲でしか動いていなかったかもしれない。

 

ー いつも新しいことを怖がってしまう自分によく刺さる言葉です。
ただ、なかなか出来ないことだとも思っていて。
おふたりはずっとこんなに意欲的なんですか?

 

翔太さん  いやいや、僕は元々ネガティブなんです。
  嫁さんがスーパーポジティブなんですよ。その影響をうけましたね。

 

ゆりやさん  いつも絶対失敗せんって言っとるよね笑
  できると思わにゃできんっておもっとるけん、
できんとおもう時間があるならやればいいじゃんって思うから。

 

翔太さん  こうやって言われて、チクチクさされたもんです・・・笑
  そういう意味ではパートナーって大事だなって思いますね。

 

ー いい影響をうける関係性がとてもうらやましいです。
 反対に翔太さんから受けた影響などありますか?

 

ゆりやさん  誰に対しても優しいし、もちろん家族にも優しいし、そういうところが尊敬しますね。
  日々穏やかにすごしてくれるから頑張れるんですよ。だからプラス思考を保てるんです。
  一番大事なことなんですよね。

 

 

「親友みたいだよね」
こんなに素敵なご夫婦とお話ししてると、結婚願望が強くなってきました・・・。

 

 

直接話す、見ることも大切なんです

 

ー 全国からオーダーをいただく中で、実店舗があることのメリットってありますか。

 

ゆりやさん  ありますよ!先日おばあちゃんが3年前に買ってくれたかばんを見せに来てくれたんです。このかばんがすごく良くてね~また違う鞄がほしいなあって。

 

 お店が無かったら家のチャイム鳴らしてくるなんて出来ないし。インターネットだとメールのやりとりだけで、買ってくださる方と会えないんですよ。
だからあってよかったなって思います。

 

翔太さん  あとはやっぱりネット上でみるのと、実際にみるのとじゃ違うと思うんですよ。
  たとえば僕の作品が気になって来てみたら、レザーが気に入って買ってくれたりとかするんです。

 

 さらにお店があることで信頼につながるんです。
 ネットだけでよりは、本物が見ることができる場所があるだけで全然違うんじゃないかなって思いますね

 

ー たしかに、だませないっていうか。直接見てもらっても自信がありますっていう信頼になるんですね。

 

翔太さん  そうそう。これがすべてですって。
  あとは直接話ができるのが大きいですね。オーダーがここで受けられたりとか、お客さんの感想が聞けたりとかするとモチベーションも上がりますよ。

 

 

「カープの帽子かぶったご近所さんが、カープの話をして帰っていったりしたこともあります笑」
ご近所の方に愛されてるんですね。

 

これからのこと

 

ー 今後はどうしていきたいですか 

 

翔太さん  今後は店舗を広くしたいですね。ワークショップができる場所だとか。

 

ゆりやさん  よくワークショップしたいという声をいただいたり、おかせてもらってる作家さんも誰かに教えたりしたいという方もいらっしゃるので。
すごい上手だからもったいなくて。ウチ用に作ってくださいって言ったら作ってくれたりもして。

 

翔太さん  そういう日の目をあびてない作家さんのものを置いたりできたらいいですね。

 

 

お客さんも、クリエイターさんも、集まれる場所になりますように。

 

ライターだより

アドバイスを求められた時以外は相手を信頼しているため、お互いの作品に口は出さないというおふたり。相手の色を極力にごしたくない。
お互いに尊敬しているからこそ、生まれる関係性がうらやましいです。

 

なんでもない自分に何かを足していくには、自分を信じる心と、とにかくやる気持ちが大切なんだと勇気づけられました。
壁に当たって悩んだら、とっても前向きなお二人の顔を思い浮かべながら頑張ります。
ありがとうございました。

 

カメラマンだより

ネットの普及と高速化が進む中で、絵描きとか、カメラマンなどのクリエイターの定義やあり方は僕もすごく変わっているなぁと実感しています。自分で名乗ればなれる時代なので、スキルはもちろん大事ですが、できるかなぁじゃなくて、やるっていう覚悟、大事だと思いました。認め合える、高めあえるご夫婦の関係、めちゃくちゃ素敵でした……

 

 

スドウ雑貨店

公式HP:https://www.sudou-zakka.com/
住所:〒739-2301 広島県東広島市福富町上竹仁318
電話番号:080-1637-7064
営業時間:毎週日曜日・月曜日11:00~17:00(月曜~15:30)
instagram @s.sudou318

 

【かいたひと】りょーま/ライター&カメラマン

大分出身。主に人と話すか家でAmazonプライムビデオ、YouTube、TVerを見ている。暇さえあればプライム会員に加入させられるため注意。

 

【とったひと】かんちゃん
カメラマン兼WEBデザイナー。大阪出身。
写真を撮ること、人と話すことがとにかく好き。
人が気が付かない魅力や楽しさを探すことが得意。