音楽で、カンパイしよう。/ Saijo Sake Music Fesイベントレポート

    

聞き手:のんの 写真:かんちゃん・しゅるしゅる 編集:あゆ

晴天。

 

 ”20th century boy”のギターリフが響き、思わずソーセージを焼く手を止める。
お客さんの手には冷たいビール、そして日本酒。
客席もスタッフも、リズムに乗せて揺れていた。

7月6日、初夏の土曜日。西条のまちのど真ん中「西条駅前にぎわい広場」にて、お酒と音楽を楽しむイベントが開催された。

 

その名も「Saijo Sake Music Fes」

 

 

ロックから吹奏楽まで、様々なジャンルの演奏を聴きながら、日本酒やビールをおつまみと共に堪能できるイベントだ。

 

 

このイベントの運営は、すべて広島大学の学生によって行われている。

運営メンバーはこの4人だ。
「日本酒をこよなく愛する女たち」による、日本酒の魅力を発信する団体「サッケーズ」の柏原さん。
豊栄町のジビエの魅力を伝え、西条ならではのビールを作る団体「ジビエ地ビールを嗜む会」の日野さん。
音響関連のサポートをしたJazz研究会の新宮さん。フライヤーを作成した広報担当の飯間さん。

 

左から日野さん、新宮さん、飯間さん、柏原さん。

 

中でも主体となったのは、お酒に関する活動をしている柏原さんと日野さんだ。

酒類販売ブースには西条各蔵の日本酒がズラリと並び、その隣にはビールのタンクが2つ、どんと置かれていた。

 

おいしい日本酒を、もっと身近に。

 

「日本酒はおいしいものなんだっていうことを大学生に知ってほしくて、このイベントを開催しました。」とサッケーズの柏原さんは言う。

 

 

「この地域には7つ蔵があるので、それぞれの特色が分かるように選びたくて。でもどう選べばいいか分からなかったので、酒店の方と相談して、『純米酒縛りでいこう』と決めました。」

純米酒とは、米と麹、水だけで作られた日本酒のことだ。
日本酒の味わいを知るにはちょうどいい。

「日本酒の背景や、おいしい飲み方をもっとみんなに知ってほしい。次は蔵人さんや、地域の人も参加できるイベントにしたいな。」と意気込んでいた。

 

学生だけでなく、音楽に引き寄せられた地域の人々もたくさん来場していた。

 

「西条ならではのビールを作りたかった」と話すのは、ジビエと地ビールを嗜む会の日野さん。

 

 

西条らしい「とりあえずビール」を。

 

「『酒都 西条』って言うじゃないですか。ここでの酒って日本酒のことだと思うんですけど、俺はビールがあってもいいんじゃないかと思ったんだよね。」

 

 

 「西条には日本酒で乾杯する条例があるけれど、やっぱり自分たちにとっては、『とりあえずビール』の方が馴染み深い。
だったら、西条らしい『とりあえずビール』があったらいいんじゃないかと思ってさ。」

 今回売られたビールは「柚子エール」と「酒粕ビール」だ。
ジビエ地ビールの会オリジナルは、この酒粕ビール。
ビールに酒粕の豊かな風味が加わった絶品ものだ。

 

今まで飲んだビールの中で一番おいしかったです。

 

「実はまだ試作段階で、これからもっと良くしていきたいと思ってるんだ。
吟醸酒の風味を強くするために、清酒酵母を使ったビールとかも考えてるよ。
将来的には、西条の地ビールで乾杯する習慣を作りたいな~、なんてね。」と、はにかんだ。

 

酒粕ビールは今年の酒まつりにも出店予定。お楽しみに! 

 

ここで私が気になったのは、日本酒を推している柏原さんとのバランスだ。

「西条でのビール推進はアリ?」と尋ねると、
「いろんなものがあっていいと思います(笑)。大学経由でいろんな人が集まるんだから、もっとごちゃまぜになって、やりたいことをやると楽しいと思う。」 と笑顔で返された。

 

「ごちゃまぜ空間」を作りたい

 

広島大学吹奏楽団さんと、Jazz研さんとのコラボ演奏。

「いろんなジャンルの音楽がごちゃまぜに集まるフェスにしたい」という柏原さんの思いから生まれた。

 

本当は広島大学だけではなく、近畿大学や国際大学の参加者も募りたかったと、柏原さんはこぼした。
「純粋に、他の大学の学生がどんな生活をしてて、どんな音楽をしているのかを知りたくて。
せっかくいろんな人がいるんだから、集まって繋がれる空間を作れたらいいなぁという思いが、企画を進めていく中で強くなっていきました。」

 

 

音楽とお酒と料理がある空間に、ひとは集まる。
そしてここが、ひととひとが繋がる空間になる。
Saijo Sake Music Fesの可能性を感じた。

 

 

「楽しそう」に巻き込もう。

 

イタリアンバル・トレさんとoi caféさんの出店も、今回のイベントのポイントだ。
「ダメ元で出店をお願いしたら、快く引き受けてくださったんだ。」と日野さんが声を弾ませる。

 『もっと大人を巻き込んでいい』って、トレさんに言われました。
今回のイベントで初めてまちのいろんな人と直接関わりに行ったんですが、『学生がこんなことやるんか!ええじゃん!』って言ってくれる人の多さにびっくりしたんです。」

 

トレさんのおつまみメニュー。炙りしめ鯖、スモークチキン、ソーセージ。

日本酒とビールにそれぞれ合うものを考えてくださった。

 

どうして学生のやることがこんなに信頼されているんだろう、と不思議そうにしていた柏原さん。
私はきっと、柏原さんと日野さんの「このイベント楽しそう!」という思いが、周りに伝わっていたんだと思った。

 

 

西条は、多様な人々が集まり、繋がれるまちだ。
空間を共有して、ごちゃまぜになって、お酒を飲みつつ、おしゃべりを楽しむ。

音楽で乾杯する人の、袖振れ合うも多生の縁。

 このまちを一緒に楽しもう。

 

お疲れ様でした!

 

 

【かいたひと】のんの / mahoLabo.代表・ライター・編集


京都出身。おいしいパンがあれば幸せ。趣味はりんごをワインで煮ること

 

【とったひと】かんちゃん

カメラマン兼WEBデザイナー。大阪出身。
写真を撮ること、人と話すことがとにかく好き。
人が気が付かない魅力や楽しさを探すことが得意。

 

【とったひと】 しゅるしゅる /カメラマンたまにライター


カメラと写真が大好きで、最近はポートレートを撮りたくてうずうずしている。
好きな食べ物は嚙みごたえのあるもの。特にイカが良い。