東広島を知ってほしいひとに届ける1冊「E-magazine」/東広島市観光ガイドブック 広島大学生編集部

    

聞き手:しおね 編集:なお、あんちゃん

 

 

みなさんは東広島市観光協会が発刊している「東広島市観光ガイドブック」を見たこと、聞いたことはありますか?

 

 

隔年で発刊しているこの冊子は、今年の2021年2月に「E-magazine」という名前で新しくなりました。

「東広島のまちの魅力を伝えたい」

そんな思いを持った大学生が、一から観光ガイドブックの制作に関わり、市の全てのまちに足を運びました。

今回は制作に関わった広島大学3年生の”あゆ”こと佐藤歩さん、”あみぱん”こと石橋亜光さんにお話を伺います。

 

E-magazine制作に関わったきっかけ

 

― まずは学生が関わることになった経緯から聞きたいな。たしか去年の2月頃に、東広島市観光協会の石川さんからお話をいただいたんだよね。

あゆ)学生団体mahoLabo.として別件の打ち合わせがあった日に、石川さんが前年の東広島市観光ガイドブックを持って来られて、「毎年広島大学の新入生に配布しているんだけど、正直どう思う?」が最初だったな。「もし良かったら来年新しく発行される東広島市観光ガイドブックの企画を一緒にしてみない?」とお声掛けをいただいたんだよね。

― もう1年以上も前のことなのか、懐かしいなあ。コロナ禍による大学の課外活動の制限がかかる前だったもんね。

あゆ)頂いた話をみんなに共有したとき、「もしかすると、もっと良い冊子が作れるんじゃないか、自分たちが知っている東広島の魅力を伝えることができるんじゃないか」って想像したら楽しくてね。その熱を石川さんに伝えて、まずはコンセプト作りに協力できることになった。そのときは時間、労力、金銭などについて、自分たちがどれだけ大きな企画に関わっているかどうかはあまり考えなかったな……(笑)

― 実際に学生はどれくらい関わったの?

あゆ)企画に関わる時点ですでに決まっていたことは、①地元の人を本のターゲットにすること、②観光協会が載せて欲しい場所があること、③2月までに発刊すること、の3つだった。

 スケジュールなどの大きな道筋を観光協会さんが示してくださって、そこからターゲットやコンセプト決めをしたり、レイアウトを手書きで作成してみたり、あとはページの振り分け、取材相手は全部私たちが決めさせてもらったよ。

 

 

― 本当にいろんなことを任せていただけて、学生側の自由度も高かったんじゃないかな?大学生がここまで市のガイドブックの作成に関わるのは珍しいことだと思う。

あゆ)観光協会さんが枠を設けてくださって、その中で自由に作らせてもらったよ。330円の価値で世の中に出てもいい、最低のライン測ってくださっていたのは観光協会さんや制作会社の方だった。もちろん指摘もいただいたけれど、自分たちの意見に対して答えを返してくださるし、私たちの「まちの期待値をあげたい」という思いも理解してくださったよ。

 

E-magazine制作を通じて考えたこと

 

― E-magazineの制作に関わってみて、「学生」が取材に関わることができて良かったと思うことはある?

あみぱん)まずはやっぱり、作成に関わった学生が東広島を知る機会になったということかな。コロナの影響で有志の学生全員が現地に行くことは難しかったんだけど、西条しか知らなかった学生が、各町のものや、ひとについて知れたことが良かったと思う。

― それがコロナ禍で経験できたっていうことも、またすごいことだよね。

あみぱん)まちに出るのがあまり良くないという風潮の中で、ガイドブックに関わったからこそできたことがたくさんあって。ガイドブックがあったから1年間まちを知る機会ができた、コロナ禍でもいろんな経験をすることができたって、他のメンバーが言ってくれることも嬉しかったな。

― 現地に行って取材をするひと、冊子の文章作成をするひと、フォトグラファーとして関わるひと、広報担当するひと、みんな様々な関わり方をしながら東広島市のことを知る機会になったんだね。

 

 

あみぱん)「このまちのことを知りたいです!」という姿勢で学生が直接取材に行くから、まちのひとも親身になってまちのことを教えてくれた。まちのひとからは「田舎なまちのことに興味を持ってくれてありがとう」と言われたりもした。

例えば歴史に興味がある子は、地域の歴史保存会のひとやお寺の住職さんから竹林寺の歴史をお話してもらったり、実際にお寺に連れて行ってもらったり、と、学生個人が興味のあることを、まちのひとに聞くこともできたね。

地域の方も、私たちも、両方嬉しいっていうのが、よかったな

あゆ)まちのひとは「せっかく学生がまちのことを知ろうとしてくれてるんだから」と、地域の内部のことを教えてくださったり、「ご飯を食べていきんさい」というお誘いもしてくださったよね。

ただただ地域のことを知りたいという思いで現地で取材したから、それが大人のひとからすると、「本当に地域のことを知りたい子たちがきた!」となるのが、面白くて。

損得勘定なしに自由にまちに赴いて、情報や時間をまちのひとと共有する中で知れた地域はすごくレアだし、それがまちのひとにも面白いと思われたのかもね。

あみぱん)観光協会さんに、「私たちが同じように取材しても多分こういうことは教えてもらえなかったと思う」って言われたとき、嬉しかったな(笑)完成したガイドブックを取材先に渡しに行ったときも、「学生だからできましたね~」って言われた!

あゆ)うわ、それは嬉しいな。 

― 観光客と地元住民の真ん中の立ち位置にいる「大学生」だからこそ、できたことなのかもしれないね。一方で、まちの大人と関わったり、大人のひとと仕事をするうえで悩んだことってあった?

あみぱん)もうたくさんあるよ~~~!ガイドブック作りで、私が一番最初にぶち当たった壁だったんよね。取材相手の大人に企画の趣旨やコンセプトを説明するのは難しかった。学生が良いと思って作った企画を、どう分かりやすく伝え、共感を得て、応援してもらえるかをめっちゃ考えたよ。

安芸津の取材で初めて企画の趣旨を説明したんだけど、全然できなくて、相手が「ん?」ていう顔をしてたのが分かった。大雨の中すごい悔しい気持ちで帰ったのを覚えてるよ。

あゆ)分かるなあ。学生がまだ未熟で世間知らずなこともあるからっていうのもあると思うんだけど、自分たちとしては「まちのひとが面白い」、「まちに何があるのか気になる」という思いで取材に行く一方で、企画説明中に「それってどれくらい学生がお金をもらってやってるの?」という報酬の話になってしまうときもあって、難しかった。自分たちが地域を知りたい理由をきちんと説明できるか、それに共感してもらえるかどうかが重要だったし、それによってどれくらい情報をいただけるかも違ったな。

 

 

― じゃあ、まちのひとが大切に共有してくださった情報を売り物にすることに関しても何か思うことはあったのかな?取材を通してまちやひとに愛着が湧いてくると、売り物にするのが寂しくなったりしなかった?

あゆ)例えばひとつのイベントをとっても、そのイベントを良いと思ってるひともいれば、全然それを良くないと思ってるひともいてね。そんな中で、地域を盛り上げようと活動してるイベントを自分たちが「魅力」として書くことって、少し勇気がいることではあった気がするなあ。

あみぱん)特に河内町で取材に行ったときに感じたな。蛍が見えるスポットをガイドブックに載せたら、多くのひとが蛍を見に来て結局川が汚れちゃって、蛍が見えなくなっちゃう可能性があるとか。そういう、まちのひとが知ってるけどあまり載せたくない情報があることを知ったとき、はっとさせられたわ。ひとが大事にしたくて載せてほしくない情報もあるっていうことを考えながら冊子を作らんといかんのやなあって思った。

 あとは、売れるものを作らなければならないというプレッシャーと、仕事に対する大人の当たり前が学生には新しく感じることもあったよ。スケジュール管理、お金に関すること、編集会社さんも関わっているということへの意識とかね。

あゆ)私もパブリックなものを作ることへの責任は感じていたな。スケジュール管理は一緒に働いてくださった大人が大学生に合わせてくれたから、私たちよりも大人の方がすごく大変だったと思う。私はスケジュール管理が本当に苦手で、あみぱんがめっちゃ支えてくれたんだよ。リマインドしてくれたりメモとってくれたりとか、すごく助かってた。

あみぱん)そう言ってもらえるのは嬉しいな。私もあゆの背中から学ぶことはめっちゃあったよ。あゆの企画説明や、大人のひととの話し方には圧倒されておりました。かっこいい言い方をすると、「戦友」かな(笑)

― 戦友かあ。2人がいろんなことカバーし合ってたんだね。見てて羨ましくなる関係性だよ!

 

これからのE-magazine

 

 

― このガイドブックは、地元のひとをターゲットにして制作してきたと思うんだけど、2人の「E-magazineのおすすめの見方」があれば、教えてほしいな。

あみ)一番は、読み手それぞれの興味のあるところを読んでもらって、そこから別のページへ読み広げてほしいな。歴史や文化に興味があるひと、お酒に興味があるひと、食べることが好きなひと、とか。読んでから遊びに行くと予習した気分になって面白いんじゃないかなとも思う。

あゆ)私もあみぱんと同じで、付け加えるとすると、大学生や、東広島に興味があるひとは、自分も東広島に住んでいた記念や、自分が東広島を紹介するための一冊に選んでほしいというのがある。それくらい手軽で細かいところ、歴史や地理をカバーしていると思うからね。東広島のことを知ってほしいと思う相手に届ける一冊にしてほしい

― 東広島に住んでいても、まちに興味がないひとは買わないんじゃないかなあと思うんだけど、そこについてはどう思う?

 

 

あゆ)地域に関心のあるひととないひとがいることは当たり前なことで、まちを知らないからといって不幸せでもないんだよね。ただ思うことは、「東広島に来て良かった」と思ってほしいというエゴはある。忘れないでほしいという思いもある。だから、そういうひとにこそ手にとってほしいなあ。

― そういうひとっていうのは、まちに興味がないひとのこと?。

あゆ)暮らしの中に地域性がないひとかな。「せっかく東広島に来たし」というぐらいの気持ちで手に取ってほしいんよな

ひとそれぞれの暮らしがあるんよね。大学4年間でも、まちに興味をもって私たちみたいに学生団体に入って活動するひともいたり、大学でめっちゃ勉強したいと思っていて、めっちゃ勉強して就職するひともいたり、何をしたいかはひとによって異なっていても良くて。ただ東広島という場所だけは、共有することができたら素敵なことだと思う。

― 最後に、2人の今後の展望を聞かせてほしい!観光ガイドブックに関する今後の展望でも、個人的にこの経験をどう活かしていきたいかでもいいよ。

あゆ)ガイドブックに関しては、まず多くのひとの手に届けること。そして、実体験としてまちを知る機会を届けることかな。私たちは、取材を通していろんなところへ行って目にした、という実体験があるから、「このまちには何もない」とは思わない。もっといろんなひとが冊子の中身のことを自分の目や手、手触りとして知ってもらうための方法を考えていきたいと思っているよ。

 

 

あみぱん)私も同じで、販路拡大に向けて、E-magazineを手に取るハードルを下げていきたいと思ってる。もっといろんな人に手に取ってほしいな。それこそE-magazineの読み方会だったり、イベントを開いてみたり。そのひとがまちにでる機会を作ろうと思う

― E-magazineを知ってもらうイベントが開けたら、まちのひとと繋がる機会も増えるし、いいね!個人の展望についてはどう?

あゆ)私は、今回できたつながりをどこかで還元していきたいと思ってる。やっぱりまちのひとから教えてもらうものには、感動するものがあるんだよな~。他の関わってくれたメンバーもそれを言葉にしてくれた。ご縁や繋がりを共有することは良いことなんだと思えたから、自分が拠点となって、自分ではないひとを繋げたり、地域の中で信頼を持ってもらえるような関係づくり、言動や行動づくりをする!

あみぱん)たしかに!まちに出て、自分のことを知ってくれるひとが増えたよね。せっかくいただいたご縁を大事にして、それを後輩にも引き継いでいけたらなと思っているよ。

 

〇E-magazineの公式サイト 町の魅力を再発見 Emagazine (peraichi.com)

こちらからは、販売価格、販売場所等の媒体概要がご覧いただけます。E-magazineの中身も一部掲載されており、冊子の雰囲気がイメージできますね。

〇E-magazineの公式Twitterアカウント https://twitter.com/kankobook_hghr?s=20

こちらではE-magazineに関する最新情報が発信されています。大学生が運用しており、E-magazineに関する質問も受け付けています。

 

ライターだより

最初はぱらぱらっとめくって気になるページを読んで、次は知り合いが書いたページを読んで、3回目は取材時に聞いた言葉を反芻しながら、冊子に込められた思いを想像しながらじっくり読んで……。開くたびに、新しい発見がある冊子です。大事にとっておきたいです。

 

 

【かいた人】しおね/編集長&ライター

山口のトロンボーン吹き。オムライスはデミグラスよりケチャップ派。置かれたところで咲いていきたい。Instagram→sea_one27 Twitter→@shione2727