「新しいものを作り続けたい」私たちのまちにある「サタケ」の挑戦/株式会社サタケ 広報室長 宗貞毅

    

聞き手:なお 写真:りょーま 編集:のんの

 

山陽本線、西条−寺家駅間の窓から見える、「SATAKE」という文字を掲げたガラス張りのかっこいい建物……

文学部棟前のサタケメモリアルホール……

 

「あれ、あのよく見るサタケってなに?」
と広島大学の学生は思ったことがあるはず。

 

今回はそんな、身近だけどよく知らない「サタケ」の魅力をお伝えしたいと思います。

 

インタビュー当日、朝ごはんをコメダ珈琲でみんなで食べ、サタケへ向かいました。
ゲートを抜けると、玄関の方から私達を呼ぶ声がしました。

広報室長の宗貞毅さんと、広報室の井本雄三さんです。

 

外観もガラス張りでかっこいいけど、中も素敵でした……

 

 

サタケってどんな企業?

 

ーまずはじめに、サタケについて教えてください。

 

株式会社サタケは西条で創業された企業でね、初代社長が日本で初めて動力式精米機を製造・販売してから精米機を中心に研究・開発を進めて、今では国内7割、北米では9割以上のシェアを占めとるんですよ。

 

手前:宗貞さん 奥:井本さん

 

すごい!
サタケが日本で初めて精米機を作り、そのシェアのほとんどを占めているんですね。

 

ー初代社長はどうして精米機を作ろうと思われたんでしょう?

 

精米機はずっと昔からあったんじゃけど、人力じゃったけんすごい時間もかかるし疲れるんよ。で、初代はどうにか楽にできんかと思ったんよね。子供の頃から頭がすごい良かったらしく、動力を使った精米機を開発することに成功したんよ。エンジンから何から全部作ったんじゃけん、ほんまにすごいよね。

 

ーすごいですね……もしかしてその精米機ってお酒と関係があるんですか?

 

そうそう、西条は酒どころじゃろう?初代が木村酒造、今の賀茂鶴の蔵元と仲が良くて、精米機第一号は酒造りのために作られた。その後さらに性能の良い精米機を作り、日本で初めて大吟醸が作れるようになったんよ。

 

サタケさんの技術がなければ大吟醸は飲めなかったのか!

 

ーいつもおいしくいただいております。他にはどんな開発をされているんですか?

 

実は、無洗米を日本で初めて作ったのもサタケなんよ。

 

ー無洗米もですか!

 

 

そう。外食産業からのニーズがあって、米の研ぎ方で味が変わらんように、洗わなくてもいいお米は作れないかという依頼があった。
だから今の外食チェーンや、コンビニのおにぎりなんかも、ほとんど無洗米。

 

ーおにぎり大好きです。
全然知らなかったけどサタケさんありがとうございます、いつもお世話になっております。

 

実は私も無洗米の開発に携わったんですよ。

 

ーそうなんですか!無洗米ってどうやってできるんですか?

 

タピオカのデンプンを使ってお米のぬかを取るんよ。実はお米って表面に凹凸があって、従来の表面を削る無洗米じゃと胚乳の一部まで削ってしまいよったのが、このタピオカを使った新しい無洗米はぬかだけ取れて、胚乳はしっかりそのまま残せるんよ。

 

無洗米の作り方なんて考えたこともありませんでしたが、なるほど、奥が深かったのですね……

 

「米を研ぐのも日本の文化だ、とおっしゃる方もおられるが、本来ぬかを全て取り除いた状態で提供するのが我々の仕事。これまで技術が追いつかず、皆様にお手伝いしていただいてただけなんよ。」と宗貞さん。無洗米って全然悪いものじゃないんですね。

 

他にも、見た目は白米で玄米の栄養を含んだGABAライス、異物をセンサーで取り除く選別機とか色んなことをしよるよ。その中でモーターやらも開発するんじゃけど、北海道新幹線の自動ドアやブレーキ、六本木ヒルズの非常用設備なんかにも使われてから、活用の分野は農業に限らんね。

 

じゃあ、機械とかを実際に建物回って見に行こうか。

 

というわけで、建物の中を見学させていただきました!

 

ガラス張りの建物の中はこうなっていた

 

おおおお、大きい……!
これが精米機か
予想外のスケールでした

 

実際に動力式精米機ができる前の精米機を体験させてもらいました。私の運動不足を考えなくても、これは重いし大変な労働だ……と感じました。

 

次は選別機を見せていただきました。

 

白米に異物を混ぜます

 

お米が流れていきます

 

綺麗に分かれとる……!

 

この選別機の高い技術が他の分野の企業から注目され、不良品を除くためにサタケの力を貸して欲しいと様々な分野からお願いされています。

改めて、サタケの技術の高さ、応用分野の広さに驚かされました。

 

 

社員を大切に思う気持ち

 

ーさっき建物の中で何名か社員さんとお会いして親しそうにされていたのですが、雰囲気がいいなあと感じました。
 部署内でも部下の意見がよく通ったりするんですか?

 

そうじゃね。新しい技術開発やら制度やら、とりあえずやってみるの精神で上が許可してくれるんよ。失敗してもやり続ける。『継続は力なり』とはまさにその通りで、一回失敗してもずっとやっとったら何かが掴めるけんね。

 

今のサタケの色んな成功もたくさんの失敗から生まれたし、むしろ失敗の方が多い。じゃけん最初の段階でできる保証はなくても信じて任せるっていうのはすごい大事なことよ。失敗しても私が責任とるけん、ってね。

 

カメラマン「宗貞さんはどのカットも絵になり、撮るのが楽しかった。」

 

かっこいい……
「継続は力なり」と色々なところでよく聞きますが、一番響きました。

 

ー社員さん一人一人を尊重されているんですね。特別な取り組みなどもあるんですか?

 

イクじいイクばあ休暇制度っていうのがあるんよ。孫が生まれた当日を含めて暦日連続3日の特別有給がもらえるっていうもので、私もとったんよ。長女が遠くにおるんじゃけど、孫が生まれた時に休みがもらえて会いに行けたわ。

 

お父さんが育児休暇を取れるっていうお話はよく聞くようになりましたが、まさかおじいちゃんおばあちゃんも休暇を取れるとは!!
可愛い孫にいち早く会えていいなあ……

 

宗貞さんはとっても楽しそうにお話されます。

 

ー初めて聞きました!他にも、あるんですか?

 

社内婚の支援とかもしとるよ。女性が結婚を機に遠くへ引っ越したりして優秀な人が退社してしまうのがもったいないじゃろう。あとは社内託児室とかも設置して、出勤の時間短縮を手伝ったりね。

 

様々な支援を世間に先駆けてされていて、とても優しい企業です。
将来こんな環境で働きたい……

 

 

心構え

ー世界の中でもリーダー的存在として牽引されているサタケさんですが、日々どのような心構えでおられるんでしょう?

 

リーダーっていうのは明日には変わっとるかもしれん。特に私達のようなメーカーだと、他の企業があっという間に抜くことだってあるけんね。だからこそ、同じものは作りたくない。常に新しいものを生み出そうとする姿勢、挑戦し続けるっていうのがモットーよ。
いつまでも泥臭く、地道にやっていくんよ。

 

サタケさんほどの企業でも、挑戦し続けるという姿勢。
終わることのない探求がその成功の鍵なんですね。

 

玄関前で宗貞さんと記念写真

 

思っていたよりもずっと大きく、優しく、泥臭く、かっこよかったサタケさん。

私達を親切に迎えてくださったユーモア溢れる宗貞さん、爽やかな井本さん。

ありがとうございました

 

 

おまけ

 

うわさのGABAライスが食べられる「豊栄おむすびくらす」でお昼ご飯を食べました。
からあげはもちろん、お米の美味しさに感動しました。
おいしくて栄養もたっぷり取れ、とても良いお昼でした!

 

ライターだより

かなり身構えて臨んだインタビューでしたが、想像と違い宗貞さんは気さくな方で、終始楽しくお話を伺うことができました。終わってみんな口にしたのは「サタケかっこいい、宗貞さんかっこいい」です。みなさんにも伝わっていたら嬉しいです。
一番印象的なのは、いつまでも泥臭くやるという姿勢です。自身耳が痛くなるところがあり、心を入れ替えようと思いました。
また、お米をもっと好きになりました。
今回のインタビューでは本当に貴重な体験をたくさんさせていただきました。お忙しい中ありがとうございました。

 

カメラマンだより

サタケさんのすごさが会話だけじゃなく、実際に目で見たり体験したりして分かるような展示がたくさんあって、広報がとっても素敵だなと感じました。
特殊な技術なんかって、メカニカルでどうも眠くなるんですが、宗貞さんのお話を聞くとワクワクしてしまい、撮るのも忘れてしまうほど。
宗貞さんの新しいことへの挑戦心を忘れず柔軟に対応していく姿勢はとても印象的です。
今回はこのような機会を設けていただいてありがとうございました。

 

【かいたひと】なお / 広報・ライター

広島県出身。三度の飯とカープで生きていける。
来世は鯨になりたいと願ってやまない。

 

 

【とったひと】りょーま/ライター&カメラマン

大分出身。主に人と話すか家でAmazonプライムビデオ、YouTube、TVerを見ている。暇さえあればプライム会員に加入させられるため注意。